【映画レビュー】『フラグタイム』60分で描く美しい百合青春作品【感想・評価】

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私、百合、大好き。

どうもこんにちは、みみみ(@mimimi9607)です。
さて今回は2019年11月22日より新宿バルト9ほかにて期間限定で上映された60分尺のOVA作品。
『フラグタイム』をレビューしていきたいと思います。

ネタバレ配慮なしです、未鑑賞の方はご注意ください

本作を鑑賞する際、あらすじを読んで真っ先に気になる点は大体皆さん一緒。
主人公の美鈴が「1日3分間だけ時間を止められる」という設定だと思います。

この設定が純粋にイチャイチャするために使われるんだろうな、とワクワクしていた自分がいましたが、良い意味で裏切られましたね…。

内容に触れずに評価するのは難しい作品なんですが、一言で言うなら無駄なく丁寧に、繊細に作られた心揺さぶる青春作品といった印象でした。

さてそれでは『フラグタイム』の鑑賞レビュー、いってみましょう!

さくっと簡易レビュー
  • 淡い色使いの美しいアニメーション
  • 時間を止められる設定が上手く活かされている
  • 生き方を考えさせられる描写の数々
  • 主題歌『fragile』のカバーが素敵
    – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – –
  • 癒やし路線の百合要素はほぼ浴びれない
  • 60分作品の宿命、物語としての物足りなさ

PV・作品情報

【フラグタイム】劇場公開OVA 本予告【Fragtime OVA Main Trailer】

“ 3分間だけ、あなたのこと好きにさせて。”

誰とも関わりたくない、関われない。
人付き合いが苦手な森谷美鈴は、
1日3分間だけ時間を止められる高校生。

ある日彼女は、時間が停止している間に、
クラスいちの美少女・村上遥の
スカートの中を覗いてみたが、
なぜか村上には時間停止の力が効かず、
秘密がバレてしまう。

お詫びとして森谷は、
村上の願いを何でも聞くと約束するがーーー

Introduction | 「フラグタイム」アニメ公式サイト より引用
(C)さと(秋田書店)2014/「フラグタイム」製作委員会

原作:『フラグタイム』
(さとにより2013年から2014年にかけて連載された漫画作品)

監督・脚本:佐藤卓哉
主な監督作
 『STEINS;GATE』(浜崎博嗣と共同監督)
 『好きっていいなよ。』
 『selector infected WIXOSS』 など。

アニメ制作:ティアスタジオ


◎キャスト

 森谷美鈴 – 伊藤美来
 村上遥 – 宮本侑芽
 小林由香利 – 安済知佳

 島袋美由利、拝師みほ、梅原裕一郎
 田所あずさ、高橋未奈美、佐倉綾音

©2019 さと(秋田書店)/「フラグタイム」製作委員会
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レビュー・感想

それでは、良かった点・悪かった点に分けてそれぞれレビューしていきます。

良かった点

独特な淡く美しい色使いのアニメーション

独特な淡く美しい色使いのアニメーション

女子高生がスカートをめくり…『フラグタイム』冒頭映像 より引用
(C)さと(秋田書店)2014/「フラグタイム」製作委員会

作品を観始めてすぐに目を引くのは淡く美しい色使いのアニメーション。

とことん丁寧で描き込まれた作画も当然好きですが、個人的に水彩画のような色使いの温かい作画がものすごーーく好みなんですよね。

そして更に本作は百合作品。
女子高生2人が互いに不安や問題を抱えながら関係を築いていく物語と淡い色使いの相性は抜群でした。
まぁ厳密には百合はサブ要素といってもいいくらいシナリオの核は別の部分だったりもしますが。

ラストシーンの演出も含めて本作が描く色を使った表現は60分間全て素晴らしかったです。

時間を止められる設定と成長の結びつけ

この作品の核である「3分間の時間停止」という行為が意味する内容が作中で少しずつ変わっていく。
本作はそういった作りになっていました。

作中における時間停止の意味の移り変わりをまとめると

  • 冒頭


    この間は人と接するのが苦手な美鈴が、人と関わるのを避けるために、自分だけの世界に逃げたいという目的で時間を止めていました。

  • 遥に連れられ無理やりデート


    デートをきっかけに美鈴は遥と一緒にいる事を「楽しい」と思い始め、遥と同じ時間を過ごしたいという目的で時間停止をするようになります。

  • 遥がクラスメイトみんなに好かれている事に気付く


    この事にヤキモチを妬いた美鈴は、自分では時間を止めるつもりはないのに無意識で遥の時間を独り占めしたいという目的で時間停止をしてしまいます。

  • 保健室でのキス


    付き合う代わりに遥がしたいことを聞くことになった美鈴は、遥の止めて欲しいタイミングで、自分のためでなく遥のために時間停止を使います。

  • 由香利と向き合い始める


    1日1度しか時間を止められないため遥のために今までは逃げていた由香里と会話するようになったのですが、その結果仲良くなってしまい由香里の為に時間停止を使ってしまいます

  • 時間停止の力が弱まってくる


    この事を遥に伝えると「じゃあ今のうちに楽しもう」と言ってきて再び時間停止を遥のために使うようになります。

  • 遥の家に行く


    遥の「自分を捨てて皆に求められている村上遥を演じる」という生き方を知った美鈴だったが、そんな生き方は間違っていると心を決めます。

  • ラスト直前、教室にて


    もうほとんど時間が止められないことを遥には黙ったまま時間停止をしクラスメイトにバラすことで遥に自分と向き合うことを強制させ、ここから時間停止を一度も使わず進行します。

このように時間停止自体が美鈴の心理描写、そして成長の表現として上手く機能していたのが面白い作り方で非常に良かったです。

生き方・人との関わり方を考えさせられる描写の数々

美鈴と遥、それぞれの生き方は正反対なようで正面から人と接することを避けていた、という意味では一緒。

あなたは相手の好きなことに合わせているだけの生き方していませんか?
話しかけられても出来れば会話を避けたいと思う時はありませんか??

自分を殺しながら人と関わったり、意図的に人との関わりを減らしたり、そんな人は案外多いのではないでしょうか。

そう、この2人の生き方や心情には多くの人が共感し、だからこそ本作は観る者に自分の生き方をほんの少し見つめ直すキッカケを与えてくれる作品になっていました。
私自身かなり心当たりのあるテーマで、結構心にグサグサきましたね…。

主題歌『fragile』の歌詞と本編リンクが素敵

本作のEDで流れるのは名曲カバー主題歌『fragile』。

歌っている伊藤美来さん&宮本侑芽さんの歌声が素晴らしいのも勿論ありますが、何より驚いたのは歌詞が本作の為に描き下ろしたのでは?って思う程にリンクしていた事です。

一部歌詞を抜粋すると

こんなにこんなに君を好きになって
本当に本当にウレシイから
たとえばこの先くじけてしまっても
にぎりしめたその手をもう離さない

出逢えたことから全ては始まった
傷つけあう日もあるけれども
「いっしょにいたい」とそう思えることが
まだ知らない明日へと つながっていくよ

本編を観終わった人には完全にフラグタイムの内容と重なりまくるんですよね。
更にいうとEDに入る際に使われたセリフ。

“ 妬んだり妬まれたり、誤解したりされたり嫌われたり
あるいは、別になんとも思われなかったりする
でも私は、それでも大丈夫なんだ
だってこの世界には、好きな人がいるから ”

ここでこのセリフを持ってきたのは本当に天才だと思う。
締めのセリフとして大好きな上なのはもちろん『fragile』への導入としてこの上なく機能していて、大大大好きな演出。

悪かった点

百合に癒やされたくて観ると物足りない

百合といえば女の子同士のイチャイチャで癒やされるもの!!
とお考えの方には物足りないかなぁと思います。

正確には十分イチャついているんですが、ずっと遥の行動理由が分からない状態で進行するので幸せそうには見えないんですよね。
まったく描写されませんがED後にはめっちゃ百合百合してるんだろうなぁと。

シンプルな物語なので大きな動きはない

綺麗にまとまっているし素敵な作品なのは間違いないんですが、60分尺特有の『短かったなぁ』という感想からはどうしても逃れられず。
どこか物足りなさは感じてしまいました。

特に終盤、遥の秘密を知ってから解決までが早く、駆け足気味で進んでしまった感は拭えません。

こればっかりは尺の問題ですのでどうにもならないです。

まとめ

まとめ

【フラグタイム】劇場公開OVA 本予告【Fragtime OVA Main Trailer】 より引用
(C)さと(秋田書店)2014/「フラグタイム」製作委員会

オススメ度:★★★☆☆

– Good –
  • 水彩画のような映像の美しさ
  • 時間停止の活かし方
  • 人生観を考えさせられるテーマ
  • カバー主題歌『fraglie』が最高
– Bad –
  • 癒やし路線の百合ではない
  • 物語としての物足りなさ

百合作品が大好きだから、っていう雑な理由で興味を持った本作でしたが、想像とは全く違った面白さを持った作品でした。

60分という短い作品で、強く絶賛されるような作品ではないかもしれませんが、絵の美しさや演出、心理描写の丁寧さなど、とにかく綺麗な青春作品『フラグタイム』。

ストーリーとしての面白さだけではない素敵な魅力を作り出す佐藤卓哉監督。
これからも同じ路線で作り続けて欲しいですね、次作も楽しみです。

それでは皆さん
よきアニメライフを~~!

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